厳冬期北海道リヤカー隊を終えて~1日目~

昨日に引き続き今回はいよいよスタートした1日を書いていきます。
 
夜、寝ている僕を誰かがゆさゆさと揺らしてくるのに苛ついて目が覚める。
だが揺らしているのは人ではなくただの風だった。
しかしこの風がただの風ではない。
テントが左右に揺さぶられて壊れるのではないかと思い、手でテントを押さえつけていた。
けど途中から面倒になりもう壊れてもイイヤとヤケクソになって寝袋にくるまった。
すると今度は大型のトラックが何台も止まりにきてうるさい。
風、トラック・・・
僕の眠りを妨げるな!
本気で言いそうになったが”やっせんぼ”(臆病者)なのでぼそぼそTwitterで呟くしかできなかった(笑)
そしてあまり眠れないまま朝になる。
いよいよリヤカー隊がスタートする前に腹ごしらえで味噌汁を飲む。
(僕には朝ごはんとしてかなり少なかった)
強風でテントを飛ばされそうになりながら片付けを終えようやく出発となった。
 
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実際にはこの状態でリヤカーを引いたのは数百メートルで僕には操縦が難しかったため、後ろから押す形となった。
相撲をしていたため押すのは得意であったが何キロも押すとなると話は別ですぐにバテた。
だが進んで行くと知らないおじさんから「ご飯でも食べな」と5000円も頂く。
なんて気前の良いおじさんなんだ!
僕だったら「なんでこんな寒い時にバカなことやってるな~」と思うだろうし、実際やっていて常に思っていたことだった。
次にお姉さんから飲み物を頂く。
北海道は寒いけど暖かい人ばかりだなと感心する。
だがこのあと事件が起こる。
川にいた野鳥を撮ろうとしてスマホを取り出す。
だがどこを探しても見つからない。
「スマホが無い」「どこだ」「どこにある」「でてきてくれ~」
 
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血眼になって探すがやっぱりどこにもない。
記憶を辿るとここから2~3km離れた所でトイレ休憩をしたことを思い出す。
その時に上着に熱を逃がすためにファスナーが開くのだがそれをポケットだと勘違いしてスマホを入れてしまったようだ。
一人きた道を走って逆走する。
お願いだからスマホよその場所に居てくれ!
スマホなので自ら動く事は無いのだが、もし除雪が来てたりすることを考えると怖くて慣れない雪道を走りに走った。
そしてついにトイレにたどり着くとキラリと輝く物体があるではないか。
すぐに手にすると間違いなく僕のスマホだった。
壊れていないかスイッチを押すとまさかの充電切れをサインがつく。
寒さでバッテリーがおかしくなったのだと瞬時に判断して必死に手で温めると電源がつき復活!!
嬉しさのあまりスマホを抱きしめようかと考えたがひと目を気にして小声でありがとうと感謝した。
だがこれから先を進んでいるハカセのもとにたどり着かないといけない。
走って来たのにまた走らないといけなくなった。
途中でヒッチハイクしようかと考えたがハカセから「ゆっくりでいいから歩いて来なさい」と言われていたので頑張って歩いた。
だが次第に脚に力が入らなくなる。
急激な空腹に悩まされる。
そしてついに脚が止まる。
この症状はなんだ?
以前マラソンを走ったときも似たような症状になったがそれよりもキツイ状態だった。
数メートル進むと止まりまた歩き出すことを繰り返す。
このままではヤバイ何か食べ物を食べなければ倒れてしまう~
そんな時にひとつのお店が僕の前に現れた。
その名も加藤商店。
どこにでもある町の商店だ。
だが財布を持っていない僕は物を買うことが出来ない。
けどそんな事はどうでもよくてお店の中に入った。
店員さんに出会うと口からでた言葉に自分でも驚いてしまった。
「お水を一杯いただけませんか?」
店員さんの顔に?が浮かんでいたがお水を渡してくれた。
この水を一気に飲み干すと目が覚めた。
だがこのお水だけではなく、アメリカンドッグも食べさせていただき体力が回復していくのがまじまじと感じられた。
加藤商店さんのお陰で回復した僕は急いでハカセのもとに向かう。
絶対怒っていたと思うがそんな素振りを見せずにハカセは待っていてくれた。
これまでの道中について話すと見かねてラーメンを食べさせてくれた。
暖かくて身に染みるとはこういうことを言うのだと初めて思ったが、ラーメンが美味しくてバクバク麺をすする。
満腹になり少し休んでから再出発。
僕がスマホを落としたためかなり時間ロスが生じてしまった。
小さなミスが大きなミスにつながる事を思い知らされた。
その日一日スマホを取り出さなかったのは言うまでもない(笑)
ミスを取り戻すために頑張ってリヤカーを押すが僕の前に立ちはだかる傾斜6%の坂道。
少し進んでは止まり進んでは止まりを繰り返しやっとで下りになり楽になると思えば体重がもろに足にかかり歩くだけでもキツイ。
さらに雪、風ともに強く、前が見えない状態になる。
 
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こうなると気分がぐんと沈む。
先の見えない道を歩くのはこんなにも人を不安にさせるものだと知った。(きっと人生でもそうだろう)
だが北海道のドライバーはこんな道でも普段通り僕たちのすぐ横を通過していく、僕にとって車も恐怖のひとつであった。
一日平均30km歩かないとゴールに期間内につかないとはいえ初日から30km歩かなくても良いのではと思い始めた。
だがハカセは歩く事を止めなかった。
まず止まった所でテントを設営する場所がないのだ。
そこから僕の思考は停止し始めただひたすら前に進むことだけ考えていた。
ときにはリヤカーに積もった雪を口に含みながら気を紛らわせていた。
そしてようやく目的地である道の駅しりうちに着いた。
 
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このときはやっと終わったとしか言えなかった。
初日からスマホを落としたりハプニングがあったが自分の注意力がないことがわかった。
これがテントをなくしたとかなるともっと大変だっただろう。
着いたあとは雪を踏み固めた場所にテントを設営してドライフードを食べた。
ここで道の駅の素晴らしさを実感することとなる。
まずトイレに暖房がついている、手洗い場からお湯が出る、手を乾かす風が温風であるこの3つがあるだけここは楽園かと思ってしまうほどだった。
ここで暖をとりながら温風を少し使わせてもらって濡れた手袋を乾かした。
今回の旅は物をいかに濡らさないのが大切だと身をもって体験できた。
この日は寝袋に入った途端すぐに眠りについた。
寒さなどどうでもいいくらい疲れていたのだろう・・・
 
スタートからハプニング続きで今思い出すと笑ってしまうことだったが、あのときは笑う状態は一瞬もなかったのではと思う。
これ以降は笑うことができるのか?
まだ始まったばかりリヤカー隊さてこれからどうなる。
2日目に続く・・・
 

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • アニメ師匠さん
    少しですが雪国の大変さを身をもって経験できました。
    また鹿児島がどれだけ良いところなのかも改めて気づかされました。
    やはり体験してみないとわからない事ばかりですね!

  • 私は北陸地方の大学に通っていたので雪国の厳しさを知っています
    雪の中30分歩いて大学へ通いましたが、それは毎日地獄でした。
    リヤカーに比べれば天国だったと思いました

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