運動時の右脇腹痛の正体

早いもので鹿児島マラソンから1週間が過ぎました。
鹿児島マラソンとは別な意味での変な緊張感を感じていた確定申告も終わり、やっとで解放されました。
今回の記事はかなり大真面目な内容ですので、気になる方だけ御覧ください。
ランニングやトライアスロンなどの持久系のスポーツをされてる方はもちろんのこと、スポーツに関わっている方は必読と思います。
この分析は自分の体で実験を繰り返し、試行錯誤の結果たどり着いたものです。
しかも、感覚的な話しではなく、理論的な内容です。
ですので、本当に興味がある方でないと読みきれないと思いますが、自分で言うのもなんですが、結構良い記事だと思います。
「サブ3の練習方法」は巷に溢れているのでどれを参考にされても良いと思いますが、これから書く内容はマラソンと体の機能に関することです。
では、2年かけたぼくの人体実験の結果をどうぞご覧ください。
 
 
ぼくがサブ3を狙った初めての大会は2年前(2015年)の菜の花マラソンでした。
その時からずっと悩まされていたことがありました。
「右脇腹痛」です。
この痛みは非常に厄介でして大体10km前後かその前くらいに一度出ます。
その時は耐えて走ってれば何とか乗り切れるのですが、30km前後から痛みが強烈になって再度出てきます。
この痛みが出るだけで脚が動かなくなります。
これまで幾度となくマラソン大会に出てきましたが、この強烈な痛みに抗うことはできませんでした。
最初は経験不足や走力不足だろうと考え、そのうちなくなると思っていたのですが、全くなくなる気配がありませんでした。
2015年の青島太平洋マラソンではその痛みに耐えながら何とか32kmまでサブ3のペーサーについて行きましたが、痛みが酷くなりスピードを落とさざるを得なくなり、結果は3時間4分でした。
走り終わった後も強烈に疲れが出たし、全身を強烈につるほど追い込んでいました。
 
しかし、2016年の菜の花マラソンを走ったとき、なぜか痛みが出ませんでした。
その時の記事にも書いてましたが32kmを走っても全然元気で、人生初めてのラストスパートをかけれたときでもありました。
走り終わった後も脚に疲れや痛みはあるものの、元気が残っていました。
ここで試していたことは、大会当日の食事方法でした。
ぼくはこの右脇腹痛が「胃と横隔膜or肝臓が走ることで接触して痛みが出るもの」と考えました。
なので、当日の食事を固形物ではなく流動食にしました。
いつもは大会当日はおにぎりを食べていたのですが、スムージーにしました。
ぼくはこの経験からやはり胃の問題だと思いました。
そして2016年の鹿児島マラソンでもそれを実行しました。
なおかつ、胃と横隔膜周辺の問題であれば体幹の筋肉を鍛えれば良いんだと思い、体幹トレーニングを2016年の菜の花マラソン後から始めました。
さらに、体幹トレーニングに合わせて「食」を見直しました。
プロテニスプレーヤーのジョコビッチ選手が小麦アレルギーで悩んでいたとのことで、自分にも何かのアレルギーがあるんだと思い、食品アレルギーを一つ一つ実際に摂取したりしなかったりの人体実験を自分で行いました。
万全を期して2016年の鹿児島マラソンに挑みましたが、10km過ぎてまた右脇腹痛が出て、ハーフを過ぎてからペーサーについていけず、27km地点で歩きました。
散々な結果で鹿児島マラソンを終え、また振り出しに戻りました。
この右脇腹痛が出る限りサブ3は絶対に不可能だと思い、来シーズン(2017年)は2時間50分以内で走る走力をつけて挑み、サブ3程度のスピードでは痛みが出ないようにするしかない、と考えました。
なおかつ、「食」「体幹」「スピードアップ」をとにかく突き詰めればいけるはずだと思い2016年の鹿児島マラソン後のモチベーションにしました。
 
食は小麦食品を完全に断ち、玄米を食べ、完全な日本食を目指しました。
調味料はもちろんのこと、小麦が含まれる一切の物を断ちました。
すると食が細くなり、少しの量でも胃が満足するようになりました。
体重も一気に落ち、体が一瞬で細くなったのを自分でも実感しました。
マラソンは体重が軽ければ軽いほど良いと言われているので、これは良いことだと思いました。
このまま順調にいけば60,0kg台の体重で挑めると思い、なお一層のこと食を勉強し、気を付けていた矢先のことでした。
虫垂炎(一般的には盲腸と言われます)になりました。
虫垂炎は高校生前後の年頃でなると言われているのに33歳にしてなりました。
手術を受ける前にどうせなら肝臓を客観的に見てもらおうと思い、手術前に担当医の先生に「肝臓を適当でいいので見てください。」と伝えました。
手術後、先生から「特に異常なかったよ〜。」と言われたので肝臓にダメージを負ってるわけではなかったようです。
退院後、1ヶ月安静にしなければならず、小麦抜きをやめ、日本食オンリーもやめました。
なぜなら、あの時小麦抜き・日本食オンリーを約3ヶ月試しましたが、これといった実感がありませんでした。
体重が軽くなったのにも関わらず、スピードは上がることもないし、持久力がついたという感じもしませんでした。
むしろ鏡で見た自分は不健康に見えました。
その矢先に熊本・大分で地震があり、もし鹿児島で地震があった場合、こんな体では家族を守れないと思い、どうしようかなと思っていたら虫垂炎になったので小麦抜きをやめました。
 
そこからまた同じように練習を繰り返し、2017年の菜の花マラソンを迎えました。
この時も2時間50分を切って走れる練習をしました。
具体的には、20kmペース走を3:55/kmで、1kmインターバルは3:28/kmで7本、ロング走(30km以上)を4本、などサブ3を狙うには十分な練習を積みました。
10kmは練習で37分前後で走れるまでになっていたので、レースに出たら36分台で走れたと思います。
これに合わせてトライアスロンの練習で、バイクとスイムもやっていたので週10回ほどの練習をこなし、体力・持久力・気力これらの鍛錬は十分でした。
しかし、結果は3時間31分でした。
右脇腹痛もありましたが、このときは水分補給や電解質補給に失敗し、体の水分調整がうまくいかず惨敗してしまいました。
このとき、右脇腹痛に関してぼくなりの考えは、「肝臓に酸素がいきわたらず無理がきてるのか?」でした。
というのも、バイクの練習で伊集院までの山道を一生懸命漕いでいたところ、呼吸がとんでもなく乱れるため、新たな呼吸法を見つけました。
この呼吸法は一気に酸素を体に取り込むことが出来るけど、若干体力を使うような気がします。
この呼吸法を実践すると右脇腹痛の痛みが軽減しました。
「大会本番の緊張から呼吸が浅くなり、酸素摂取が不足している」この分析結果は呼吸法により確かに少し改善されたがこれはその場しのぎであり、根本的解決方法ではありませんでした。
酸素は麻酔としての作用もあるので、急激に酸素を摂取したことにより痛みが一時的に麻痺しただけだったようです。
(過呼吸などになると全身が痺れる感覚があるようですが、それは酸素の麻酔作用によるものです。)
 
2017年の菜の花マラソンのあと貧血で倒れたりしたので、病院へ行き、血液検査をしました。
肝臓の数値は全く悪くなく、そこまでひどい貧血ではありませんでした。
多少の貧血とヘマトクリット値が基準値より少し低い程度で、その他は健康体そのものでした。
ヘマトクリット値を上げるべく、サプリについて勉強し始めました。
鉄の錠剤を処方してもらったので、鉄を体により吸収しやすくするため、葉酸・ビタミンc・ビタミンB12などを主に取るようにし、マルチビタミンを毎日取るようにしました。
しかし、これらのサプリの効果はいまいち実感としてはありませんでした。
少し持久力がついたかな?という程度であり、明らかな右脇腹痛の改善はみられませんでした。
なぜなら、妻の食事が良かったため、色んなサプリで栄養を補助しなくても良い状態だったからです。
 
このサプリの勉強が右脇腹痛の原因解明を一気に加速させました。
年末くらいに読んだ、桑田真澄(元プロ野球選手)さんの本の中に、「内臓疲労を考える」という言葉が頭に残っていました。
当然内臓疲労のことは知ってましたが、改めて内臓疲労とはなんぞや?ということを深く勉強してみようと思っていた矢先のサプリの勉強でした。
その二つを同時進行で勉強していくと、「もしかしてこれなんじゃないの?」というフレーズを見つけました。
『糖新生』
聞いたことがある方はいらっしゃると思いますが、一般的には全く知られていない言葉です。
その漢字の通り、「糖を新しく生み出す」ということです。
糖新生について詳しく知りたい方は適当にググってください。
簡単に説明してみます。
 
体のエネルギーは、「糖エネルギー」と「脂肪エネルギー」の2種類あります。
脂肪エネルギーはその名の通り、体に蓄えられている脂肪をエネルギーとして生み出されるエネルギーです。
糖エネルギーは主に筋肉や肝臓にあり、少しだけ血液に含まれます。
糖エネルギーの方が簡単にエネルギーとして変換でき、脂肪エネルギーは少し手間がかかるため、即効性のあるエネルギーは断然糖エネルギーです。
この糖エネルギーはエネルギーにすぐ変換できることもあり、中々蓄えることが難しくすぐに使ってしまいます。
脳もこの糖エネルギーに依存しています。
そのため、糖エネルギーがなくなってくると、肝臓が脂肪を分解して糖エネルギーを生み出すのです。
それが「糖新生」です。
 
この糖新生をぼくの体の中では頻繁に行われていました。
なぜなら、糖エネルギーが毎日の練習で常に枯渇状態になっていたためです。
長距離を走れば走るだけ糖新生は行われるので、練習すればするだけぼくの肝臓は働き続けなければなりませんでした。
ぼくはこれが内臓疲労の主な原因だと考えました。
そこで、この糖エネルギーを体に満たした状態でレースに挑んでみようと考えました。
それが、2017年の熊本城マラソンでした。
そう、初落武者の大会です。
糖エネルギーの補充方法はランナーやトライアスリートの間では常識となっている、カーボローディングとしました。
カーボローディングも勉強し、ただ無闇矢鱈と炭水化物を食べれば良いというわけではなく、適切な運動量と食事量がありました。
この糖新生に辿り着いたのが、熊本城マラソンの三日前でしたので、急激にカーボローディングを行う方法(西オーストラリア大学の方法)で試しました。
大会当日、不完全ではあったものの、カーボアップした状態で迎えることができました。
走り始めは体が重く、これ失敗したかなぁと思いながらでしたが、10kmを過ぎてから体が思い通りに動くようになりました。
落武者への声援がそうさせたのもあったのでしょうが、このときは体力が有り余った状態でした。
いつも出る右脇腹痛が37km地点まで出ませんでした。
37kmで一度急激なスピードアップを試みたところ少し痛みが出たのでスピードダウンしたら痛みは出ませんでした。
これは、まだカーボアップが不完全だったため、最後まで糖エネルギーがもたなかったことが考えられます。
そして、42km走り終わった後でもいつもより元気が余っていました。
タイムは3時間24分でした。
最初から全然本気で走ってなかったし、ジョグより少し早いペースで走ったくらいだったにも関わらず、体力がずっと残っていたため最後までしっかりと走りきることができました。
このことから、ぼくの仮定はほぼ確定的となりました。
この熊本城マラソンの実験結果から、2週間後に行われる鹿児島マラソンでは完璧にカーボアップをすることで右脇腹痛が出ない「だろう」と思いました。
今度は急激なカーボアップ方法ではなく、五日間ほどかけて行う、シェルマン/コスチル法を試すこととしました。
いつもだったら、大会三日前に15kmの追い込み調整もやめ、普段のジョグも半分以上に抑え、食事はこれまで体重を増やさないように炭水化物をなるべく控えていたこととは反対に、ガッツリ食べました。
最後の二日間は暇さえあれば常に炭水化物を食べている状態でした。
そして、鹿児島マラソン当日はいつも以上に炭水化物を食べ、体には糖エネルギーが満たされた状態で挑みました。
その結果、右脇腹痛が一切出ませんでした。
それでも、いつ出るか怖かったため、中々スピードアップを躊躇しながら走ってました。
ハーフを過ぎてからスピードアップを開始しましたが、前半の借金が仇となり、サブ3到達は出来ませんでした。
しかし、ハーフを過ぎてスピードを上げても全く痛みは出なかったし、脚がとにかく動きました。
走り終わってサブ3出来なかった悔しさより、この右脇腹痛が出なかったことが何より嬉しかったです。
これで、ぼくの右脇腹痛の原因が解明されました。
『体の糖エネルギーが枯渇し、糖新生が頻繁に行われたことによって肝臓疲労を起こし右脇腹痛が出た。』
この事実にたどり着くまでに2年半を要しました。
 
では、2016年の菜の花マラソンはなぜ痛みが出なかったのでしょうか。
これにはしっかりと理由がありました。
この大会前2週間ほど妻が実家に帰っていたため、自分で料理をしなければならず、働きながら自分で料理をすることがめんどくさかったので、カレーやシチューなどの作り置き出来るものばかりにしてました。
カレー・シチューにはご飯やパンをつけて食べるため、知らず知らずのうちにカーボアップされていたのです。
このときは全く気付きませんでしたが、今回の糖新生と炭水化物の働きを勉強したことで解明しました。
あのときは点でしかなかったものが、今やっとで線となり繋がりました。
 
いや〜、実に体は良く出来てます!
ぼくがこれまでカーボローディングをしなかったり、炭水化物をなるべく摂らなかったことには一応理由があります。
マラソンを始めるとき、一番最初に勉強したのが「小出義雄」さん(高橋尚子さんなどの監督をされた方)の本に、「カーボローディングなんてしなくてもいい」、「体重は軽ければ軽いだけ良い」と書かれていたためです。
これは小出監督を責めているわけでありません。
ぼくがそれを鵜呑みにして、極限までその教えを守りきってしまっただけです。
『カーボローディングなんてしなくていい、って小出監督が書いてるんだからする必要はないし、勉強する必要はない。』
『体重が軽ければ軽いほど良いのであれば、体重が増える炭水化物はなるべく食べないほうがいい。』
そのようにかなり安易に考えてしまい、それが一種の固定観念として熊本城マラソンの三日前までありました。
「一番最初に勉強した」ということと、「あの小出監督が言ってるんだから」これが悪い方向に働いた結果でした。
しかし、ぼくはこの体験というか経験が出来たことは本当に良かったと思ってます。
この右脇腹痛が出なければ勉強しなかったであろうことが多々ありました。
特に食の勉強が出来たことはかなり大きかったです。
 
ぼくが鹿児島マラソンの完走記事に書いた、「サブ3を確信した」という言葉の裏には地道な実験結果から導かれたものがあるからこそのものでした。
これらの勉強結果から日々の練習内容の前の食事も変える必要があることがわかりました。
体にしっかり必要な栄養素が無いと練習でも追い込むことが出来ないからです。
そして、追い込んだ日の食事も筋肉の回復を促す食事が必要となります。
それらを食事だけで補うにはマラソンランナーは到底追いつかないほどエネルギーを消費します。
それを補うためにサプリをしっかり理解した上で摂らなければなりません。
サプリは飲むタイミングが命です。
それを理解した上で飲まなければその効果も半減してしまいます。
マラソンランナーであれば聞いたことがあると思いますが、「BCAA」というサプリもそうです。
適当に摂ってもそれほどの効果は出ません。
しかし、しっかりとした知識があれば効果がはっきりと認識できるほどの効果が出ます。
サプリに関することはそのうち書きます。
 
長くなりましたが、これがぼくの右脇腹痛の解決方法でした。
本当はもっと詳しく書けるのですが、これでも簡単に書いたつもりです(´Д` )
これらのことや、体のことを書いた本を出して印税生活出来るのでは!?と安易に考えていますが、まずそんなことは不可能だとわかっているので日々の仕事を頑張ります(^_^;)
長文ご覧いただきありがとうございました*\(^o^)/*

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • bokunoteさん
    突然のコメント失礼致します。
    沖縄在住の島人と申します。
    いつもブログを楽しく拝読させて頂いています。
    右脇腹痛についての記事も興味深く読ませて頂きました。
    私自身現在サブ4を目指して練習していますが練習段階から既に右脇腹痛に悩まされています。距離にして5キロほど走った所で強烈な痛みが出てきてペースを落とさざるをえなくなります。ハーフマラソンのレース中も10キロほどで痛みが出てきて目標のタイムに届かない状態が続いています。
    これもやはり糖新生がうまくいっていないことが原因でしょうか?
    年齢身長体重:25歳178センチ70キロ
    学生時代はバスケットしてました。
    練習メニュー:週4日ほど10キロのビルドアップ走(6:00/キロから5:00/キロまであげていく)
    生活リズム:深夜勤務の仕事のため夕方6時起床で仕事のあとの朝7時ごろから練習
    食生活は主にコンビニ弁当を勤務前に食べ仕事の休憩時間におにぎり1つ、練習後はコンビニ弁当。(身体に悪いことは重々承知です…)
    ご多忙とは存じますがアドバイス等頂けますと幸いです。

    • >>島人さん
      はじめまして!
      いつもブログご覧いただきありがとうございます!
      鹿児島で書いているので、ブログをご覧になっていただいてるのが鹿児島の方々ばかりと勝手に考えていました。
      ですので、沖縄からのコメントになんだか嬉しいです*\(^o^)/*
      この右脇腹痛に関して追記したいなと思っていたところだったので、また記事にさせていただきます!
      しかし、今書いている途中の記事がございますので、その記事を書き終えてからになります。
      来週になると思いますが、少々お時間ください。
      よろしくお願いしますm(_ _)m

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