今回の症例集は主に食事に焦点を当ててみたいと思います。
股関節を痛めていらっしゃる方の参考になれば幸いです。
是非最後までご覧ください( ^ω^ )
症例:70代女性(Yさん)、両股関節に著しい変形あり
先天性股関節脱臼無し
家族歴無し
50代後半に左膝関節の靭帯を切る
その1〜2年後から右股関節に痛みが出る
徐々に変形が進み、約5年前から左股関節にも痛み出る
病院に行くといつ手術しても良いとの事だがYさんはしたくないとのことで保存療法を望んでいる
杖歩行をするも、近所の散歩も中々出来ない状態
H.29.11、初来院
右股関節の痛みは落ち着いたが、左股関節に痛みが強く出る
両股関節周りの筋肉の硬さが著しくどちらからほぐすべきか迷うほどだったがこの時の主訴が左股関節痛だったので、主に左股関節をほぐした
遠距離ということもあり、初来院から1ヶ月に1回程度通院
それでも月を重ねる毎に痛み軽減
H30.3、歩行器を使い近所を少しだけ歩く事を始める(様々な注意点や指導の元行なっているのでこの記事を見て運動される方は要注意)
症状が劇的に良くなり、触診をしても筋肉が付いている事を確認
自宅で出来るゴムバンド運動を指導
体重過多によって股関節に負担がかかっている話をし、Yさんもわかってはいたものの痩せ方がわからなかったとのこと
栄養指導をする
H30.4、体重減少を問診・触診にて確認
Yさんも順調に体重が落ちている事を確認し、体の調子(股関節を含め)が良くなっているとのこと
筋力も増え、食事による減量も順調
H.30.5、ゴールデンウィークに様々なイベントが重なり痛みが強く出た
右内転筋の筋肉が付いている事を触診にて確認するも、左が付いていなかった
ゴムバンドの使い方に問題あり→今一度運動指導
H.30.6、来院4〜5日前より歩きにくくなったとのこと
歩行を見ると明らかに歩行問題を確認
Yさんから元気が感じられず、筋肉だけではない「何か」を直感で感じる
股関節に痛み自体はほとんど感じなくなっている
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初来院された時は本当にどうなるかと思いました。
両股関節周りの筋肉から腰や脚全体までかたまっており、正直な話、施術をした後もあまり手応えを感じられない程でした。
しかし、1ヶ月後に来院された時には明らかに感触も違いましたし、Yさんも楽になったとおっしゃられて安心しました。
それから毎回運動指導をしながらご家庭でのお話を聞いて、今出来る事は何なのかを吟味しました。
歩行もままならない状態で来院されましたが、歩行がある程度出来るようになってきました。
Yさんからの提案もあり、歩行器での歩行をすることになりました。
歩き過ぎないこと、痛みが出たらすぐにやめること、歩き方の注意点などかなり細かく話し合いました。
その次来院された時、明らかに筋肉量が増えていました。
歩き方もかなり改善しており、運動量が増えたことで体重も減っていました。
施術をしながらどの筋肉を使っているかお互い確認し、左右の筋肉のバランスに気を付けました。
歩行だけでは付かない筋肉を股関節に負担なく鍛える必要があり、出来る範囲内で最善を探しました。
それから順調に体重も落ち、身体の調子が良くなっている事をお互い確認しました。
6月に来院された時、明らかに様子が違いました。
覇気がなく、生気を抜かれたような状態でした。
何か精神的な問題があるのかと思い、慎重に話をしながら施術を行いました。
結果から書きますと、問題は「食」にありました。
栄養指導により、タンパク質を十分摂るようお伝えしました。
また、朝昼夜のご飯を2週間分書いて頂きました。
ご記入いただいた紙を見るとそこに全ての答えが書いてありました。
タンパク質を十分摂る事をお伝えしているにも関わらず、タンパク質量が不十分であり、全体的に糖質過多の傾向になっておりました。
タンパク質を十分量摂る事の指導は非常に難しいです。
なぜならみなさんが思っている以上にタンパク質を摂取することが難しいからです。
自分では十分と思っていても全くと言っていいほど足りていません。
自分の体重g必要です。
例えば体重50kgの人の場合、50gのタンパク質を摂らなければなりません。
しかも、これは最低量です。
タンパク質の「質」も問題となりますので、摂取する食べ物にも気を付けなければなりません。
運動の有無、ストレスの程度によりタンパク質の量は変わってきます。
体調不良の場合は2倍の量を、運動を強くしている人は3倍量摂らなければなりません。
摂り方もあったりしますので急激に増やすのではなく、胃腸の様子を見ながら徐々に増やした方が良いです。
これまでタンパク質の摂取量が少なかった方が急に増やすと下痢になったり体調不良を起こすことがあります。
これはタンパク質の消化酵素不足で起こります。
細かいことになりますが、糖質もあまり摂ってはいけません。
関節が炎症を引き起こす原因ともなる「糖化」に繋がる可能性があります。
また、タンパク質不足からくる自己免疫疾患にも繋がる可能性もあります。
(変形性股関節症で悩まれてる方の数多くの方が実は自己免疫疾患からくる股関節の変形ではないかと考えています。)
Yさんの食事内容を見ると日を追うごとに糖質量が増えていました。
実際に記入した表を見てみましょう。
2018/6/1〜7
2018/6/18〜2018/6/23
暗くてわかりにくいと思いますが何とか見てください。
上と下の表を見ると明らかにお菓子類(糖質)の量が増えていることが確認出来ます。
タンパク質を多く摂るようお話はしていますが、それでも全然足りていません。
タンパク質が足りないどころか、糖質が増えてしまっています。
食事制限で体重が落ち、体が軽くなり股関節の調子も良くなってきたことで制限をし過ぎてしまいました。
上の食事のような食事制限をしてしまうと、必ず糖質依存が出てしまいます。
摂取エネルギー不足によるものです。
糖質制限をする場合、必ずタンパク質を十分量摂らなければなりません。
Yさんはタンパク質不足状態で食事量全体を減らしました。
そして糖質の摂取量が増えたことで、体は糖質依存状態となり、すぐにエネルギー変換出来る糖質を欲するようになります。
こうなると「うつ」のような症状が出ます。
これが6月の来院日に出ていた状態です。
また、タンパク質摂取不足の状態で糖質依存状態になると糖質からエネルギー生産が出来なくなり、筋肉を分解してエネルギー生産をしてしまいます。
まさにYさんはこの状態になっていました。
今回のYさんの状態はぼくの栄養指導不足が招いたことです。
食事制限をする場合、必要量以上のタンパク質を摂らなければなりません。
それをお伝えしたのですが、やはり1ヶ月に1回でしっかりと伝えることは中々出来ませんでした。
今はこの失敗を反省し、どうにか出来ないかと試行錯誤しております。
多くの患者さんがぼくの施術だけでなく、自分で出来ることは無いかと日々思考錯誤されています。
ぼくは患者さんになるべく通わない方向にする為、多くを伝え過ぎる傾向にあります。
伝え過ぎることで結局何をどうすれば良いのか迷わせてしまいます。
まだまだ勉強不足です。
わかりやすく、端的に伝えなければならないのですが、ぼくの性格上難しいです。
しかし、そこを何とかしなければ患者さんが通い続けることになってしまいます。
それだけは避けなければなりません。
もちろん、メンテナンスの意味や日々のケアの為に通われる分には問題ありませんが、ここで書いていることは、股関節痛でお悩みの方がいかに通わなくても済むくらい良くなるかという話です。
勉強に終わりは無いですねm(._.)m
もっともっと高みを目指して行きます。
自分と患者さんの可能性を信じて、ぼくがやれること、患者さんがやれることを精一杯やっていこうと思います。
変形性股関節症症例集2
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