変形性股関節症の患者さんからよく質問されることの一つに「どのような運動が良いのですか?」があります。
それについて書いていきます。
まず始めに変形性股関節症の患者さん(Nさん)の紹介をします。
70代後半女性。
2015年2月に股関節の痛みで整形外科に行くと変形性股関節症と診断される。
先天性股関節脱臼は無し。
家族歴無し。
子供の頃以上無し。
スポーツ経験並程度。
大きな怪我無し。
出産有り(一人)。
健康の為にウォーキングを始めた。
そのウォーキング中に股関節の付け根や膝裏・膝内に痛みが出始め、日に日に酷くなった。
来院されたのはH29.9月でした。
当時の訴えとして、股関節の痛みもあるけど膝の痛みも悩みの種で正座が出来ないとのことでした。
最初の1回目で膝の痛みが激減し、股関節の痛みもかなり落ち着きました。
痛みが軽減したことで、海外旅行に行くことも出来るようになり、運動も再開することが出来ました。
今では正座も出来るようになられてます。
それから月に一回メンテナンスの為に通われてます。
最近(H31.3)は股関節や膝の痛みは落ち着いていたのですが、膝の内側と裏側に痛みが出た(H31.3.16)とのことでした。
痛みが出た二日前に施術をしたのですが、その時にいつも無い身体の変化がありました。
腰と太ももの裏が硬くなり、骨盤が開き気味になってました。
施術である程度柔らかくなり、大丈夫かと思ったその週の土曜日にヨガに行ったその日の夕方から痛みが強く出たとのことでした。
話を聞くと、ヨガ三日前にこれまでしたことのないスタイルの自転車漕ぎをジムでされたとのことでした。
普通の自転車漕ぎは僕もオススメして毎週1回漕いでいたそうですが、今回はジムが混み合っており、座位の状態で漕ぐ自転車をされたそうです。
この自転車の影響で太もも裏と内、腰、臀部の筋肉に負荷がかかったのです。
その筋肉たちの引っ張りがまだ完全に取れない状態でヨガをしてしまい、筋肉が極端に引っ張られそれらの筋肉の付着部である膝内側と裏側に炎症が起こりました。
今回のNさんは筋肉をほぐそうと良かれと思ってやったことが裏目に出たパターンです。
そもそもNさんが股関節を痛めた原因もウォーキングでした。
よくテレビや雑誌などで「ウォーキングをする際は歩幅を広くしましょう。」と言われますが、絶対やってはいけません。
腰や股関節、膝を痛める大きな原因となります。
ウォーキングをするなら歩幅を狭くしましょう。
プール歩行は絶対お勧め出来ません。
この運動を変形性股関節症の方に勧める人はそもそも根本的な部分に気付いてません。
股関節が痛い人はあんなピタピタになってる水着を履けないんですよ。
履くのも難しいし、脱ぐ時は尚のこと難しいです。
水着に着替えることが出来たとしても、水中歩行は歩幅が広くなり過ぎる傾向にあり、腰や股関節を痛める可能性が高いです。
しかも、何より最大の理由は水中で歩行してもそんなに筋肉が付かないことです。
そんなに、と言いますかほとんど付きません。
全くの無駄ではないでしょうが、股関節周りの筋肉を鍛えるという名目でやるにはお勧めできません。
ついでと言っては何ですが、股関節に良い運動の一つを紹介します。
股関節に負担が少なく、また股関節周りの筋肉を鍛える最適な運動は「自転車漕ぎ」です。
ジムなどにあるエアロバイクのことですね。
最大の注意点として、サドルの高さに気を付けることです。
この高さを誤ると逆に股関節に痛みが出てしまいます。
その高さを骨盤の骨格模型を使って説明します。
↓指差してる部分を上前腸骨棘と言います
上の写真は骨盤模型を前から見てます。
この指差してる部分とサドルの高さが同じになるくらいが適正な高さになります。
この高さで漕ぐとわかりますがかなり高く感じると思います。
変形が著しい方の場合、自転車漕ぎも出来ないことがありますので無理に漕ぐことをしてはいけません。
自転車漕ぎをして痛みが出たり、コキコキ音がする場合はすぐにやめてください。
また、漕ぎ方によって鍛える部位も変わってきますのでこの自転車漕ぎを始める方は専門家に相談してから漕ぎ始めることをお勧めいたします。
変形性股関節症といっても症状や原因は千差万別です。
鍛える部位も人によって変わってくるのが当然です。
適切な部位を適切に鍛えることが重要です。
Nさんの話に戻ります。
股関節と膝は密接に関係しています。
股関節周辺から膝周辺に付く筋肉が多いからです。
Nさんの場合、太ももの後ろの筋肉と内側の筋肉が原因で膝に痛みが出ました。
一回施術をして二回目に来院されたらだいぶ良くなりました。
痛みは必ず原因があって痛くなります。
その痛みを適切に処置すれば痛みは無くなります。
もちろん期間がかかる場合もありますが、大体1週間で何かしらの結果は出ます。
痛めて早ければ早いほど治りも早いです。
変形性股関節症で悩まれてる方は是非早期に対処されることをお勧め致します。
病院で「進行性だから」「運動厳禁」「対処法はない」など言われてる方がほとんどではないでしょうか。
そんなことはありません。
ぼくも右股関節に問題を抱えてます。
いわゆる変形性股関節症です。
左右の脚長差が5mm~10mmあります。
それでもフルマラソンやトライアスロンが出来ています。
筋肉や関節の構造上の問題や栄養を考えて運動しているからです。
度合いにもよりますが、変形性股関節症の方でも運動出来るようになります。
諦めないでくださいね( ^ω^ )
コメント
コメント一覧 (15件)
2年前にブログで元気をもらいリハビリとトレーニングを続けてきました。
おかげで関門ギリギリですが神戸マラソンゴール出来ました。
今後も続けていきたいと思っています。
>>スローランナーさん
先日行われた神戸マラソンの情報を見て、あれからどうなったのだろうかと思っていたところでした!
お久しぶりです、スローランナーさん!
お元気そうで何よりです(^ ^)
完走されたのですね!
なんとも嬉しい限りです(^o^)
これもスローランナーさんの諦めない努力の成果です!
無理に続けなくても良いですけど、楽しめる間は精一杯楽しんでくださいね(^_^)
またの報告をお待ちしております.(*^▽^*).
有難うございます。何歳まで走れるかあ?挑戦したくなってきました。
医者から無理するなと言われてるので、脚が張ってきたら歩くようになってます。
変形股関節症が進行しないで、もっと走れる力をつけたいです。
諦めない元気をくださって感謝です。
>>スローランナーさん
いつまでも諦めない生き方もいいと思いますし、諦めるのもまた人生の一つですね。
こんな若造が何いうも失礼ですので、代わりにサミュエル・ウルマンの「青春」という詩を書き記します。
いつまでもスローランナーさんの”青春”を謳歌されてくださいね(^_^)
青春とは人生のある期間ではなく心の持ち方を云う。
薔薇のような面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
たくましい意志、ゆたかな想像力、炎える情熱をさす。
青春とは人生の深い泉の清新さをいう。
青春とは臆病さを退ける勇気、
安きにつく気持を振り捨てる冒険心を意味する。
ときには20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
年を重ねただけで人は老いない、理想を失うとき初めて老いるのだ。
歳月は皮膚にしわを増すが、情熱を失えば心はしぼむ。
苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い精神は芥に帰す。
60歳であろうと16歳であろうと人の胸には、驚異に惹かれる心、
おさなごのような未知への探求心、人生への興味の歓喜がある。
君にも吾にも見えざる駅逓が心にある。
人から、神から美・希望・喜び・勇気・力の霊感をうける限り君は若い。
気力が絶え、精神が皮肉の雪に覆われ悲嘆の氷に閉ざされるとき、
20歳であろうと人は老いる。
頭を高く上げ希望の波をとらえる限り、
80歳であろうと人は青春にして已む。
素敵な詩有難うございます。
青春に完敗!ですね。
はじめましてブログに励まされています。
3月に変形股関節症と診断。狭くなって軟骨が少し減ってます。リハビリに励んでます。
昨年神戸マラソン後半から左内腿がはってきて、早歩きでなんとかゴールしました。
その後筋肉をほぐしてもらい良くなって、軽く走ると痛くなる(左腿あちこち)を繰り返していました。東京マラソンが中止になったのでやっと医者に行きました。
69歳女性 152㎝50キロ 初10キロ64歳 初ハーフ65歳
初フル66歳 4回経験 ベスト5:50
他 ダイビング 登山(昨年は富士山) 若い頃はハイキング程度です。
今は整形と接骨院に通い良くなってきたと感じますが スローランは1キロくらいで
ウオーキングは2キロくらいで内股に違和感が出てストレッチをして後2キロ程歩いています。無理すると進行して手術になると言われてビビっています。
昨年までは鹿児島経由屋久島に行っておりました。
コロナが落ち着いてまた近くまで行ける機会がありましたら相談に伺いたいと思っています。
>>スローランナーさん
はじめまして。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
あなたのような人と出会えて良かったと心から思います。
フルマラソンを66歳の年齢でトライしようと思うその気持ちは今まで出会った方の中でダントツの一番です。
こちらのコメントでお答えするにはあまりにも勿体無いので記事にさせていただきます。
そちらにて回答させていただきますので少々お待ちください。
大げさなお返事有難うございます。
痛くなったのは走る距離をのばしてからばで左脚外側から膝でした。
股関節辺りも違和感ありました。何度かほぐしてもらい痛みが消えてました。
昨年は10月のハーフでの膝から外側の張りが消えないままのフルでした。
ケア不足だったと思ってます。徐々に悪くなっていったのでしょう。
諦めずに今から出来る事を頑張っていきたいと思ってます。
>>スローランナーさん
来週になると思いますが、記事の参考になります。
ありがとうございます。
一月前に左膝を故障しました。走った日の次の日に痛みを感じ、その2日後に走ったら途中で左膝内側に激痛が走り、泣きそうになりながら数キロ足を引きづりながら歩いて帰りました。股関節が悪いわけではないんでしょうが、2月にフルマラソンを走った時は30キロくらいで股関節が痛くなり、ほぼ走れなくなってなんとかゴールしました。今回も股関節の外側が張っているような感じがしてたら、ランの途中で左膝の激痛に見舞われました。
一月経った今、歩くのは痛みはほぼないですが、走ろうと体重をかけるとやはり痛みます。現在はランニングの代わりに週一でスイミングを行なっております。
このまま走れなくなるのではないかととても不安です。仕事と子育てのストレス発散の意味も込めてのランニングなので笑
長文失礼しました。
>>宇治ランナーさん
以前サプリの記事でコメントされてましたね。
返信することを忘れてました。
サプリに関してはそちらにコメント書きます。
今回の症状も診ないと確かなことは書けませんので参考程度にしてください。
膝内側の痛みは股関節周辺から始まる筋肉が原因かと。
股関節本体が悪いわけではありませんが、そのまま放置すると股関節の変形に繋がる可能性がありますので気を付けてください。
宇治さんが書かれてる内容を見る限り、体のケア・メンテナンス不足かと思われます。
栄養も大事ですが「何か一つで良くなる」というよりも「複合的に考えると良くなる」と考えてください。
良かれと思ってやっていることでも一つ一つ疑いながら思考錯誤されてください。
答えは必ず自分の体にあります。
お世話になっております。
先生の診察を直接受けているわけでもないのに、ご丁寧にコメントいただき、ありがとうございます。
この先、5年後、10年後…どうなっているのか不安に思う中、とても心強いです。
生活の一部だったランを失った喪失感はまだまだ大きく、季節が良くなるこの先、寂しさは更に増すと思いますが、時間が解決してくれると信じ、そして、ランにかわる新たな何かを見つけることが出来たらいいなと思います。
もちろん、ラン復活が一番の希望です☆
プロテイン。
一番必要なものを見落としていました。
(๑˃̵ᴗ˂̵)
摂取しますね。
変形性股関節症との共存の日々はまだ始まったばかり。
ごまんとある情報で頭でっかちにならないよう気をつけてやっていきたいと思います。
肩の力を抜いて…(o^^o)
これからも、ぼくの手、ぼくの足、楽しみにしています。
ありがとうございました。
>>カキさん
こちらこそコメントありがとうございます。
誠意には誠意で応えるのが人として当たり前だと思ってます。
文章を見ればわかりますからね。
今書いてる記事はぼく自身の体験記です。
もしかしたらそこにカキさんに対してのヒントがあるかもしれませんのでアップされたら参考にされてください。
ランニングを諦めるにはまだ早いと思います。
こんにちは
明るい股関説ありがとうございます。
この1月に変形性股関節症と診断され、これから先どうなるんだろう…と不安に思う中、70代の方が自分の足で歩き、意欲的に体を動かしていることに気持ちが明るくなります。
(ᵔᴥᵔ)
ほんと同じ病名でも痛みや症状は人それぞれで、いろいろな情報があふれる中、自分にとってなにが良くてなにが良くないのか…を見極め、自分の体をどう変えていくかが大切なんだと痛感しています。
おっしゃる通り、
>病院で「進行性だから」「運動厳禁」「対処法はない」など言われてる方がほとんどではないでしょうか。
まさしく同じことを言われました(๑˃̵ᴗ˂̵)
歩くのも30分ぐらいなら構わない とも。
思わず 30分⁈
家族からは、泳ぐことを止めると死ぬマグロと一緒やな なんて言われてきた私。
( 自分ではそうでもないと思っていますが…)
30分なんて普通に歩いてるやん…(^_^;)
状態の毎日ですが、変形性股関節症と診断されたからには、股関節に向き合い、改善目指していきたいと思います。
参考までに、大勢いる変形性股関節症患者の一人として、私の状態をお知らせさせていただきます。
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53才 女性
身長 158㎝
体重 43㎏
出産 3人
職種 学校事務
友人のマラソン応援する中「一生に一度だけ、私も参加してみたい…」と思い、2012年より走り始める。
その後ハマり、近年では1年に
・ハーフマラソン3大会
・マラソン4.5大会
・富士登山競走
・トレイルラン1大会 に参加。
2018年秋に右足股関節に痛みを感じ整形外科でレントゲン。その時は「右股関節の隙間が若干狭い気もするが、今のところどうもないだろう」との診断結果。
その言葉にホッとして、その後マラソン3大会に参加。タイムは
①4:05
②5:36
③5:42
自己ベストは3:43
②、③の大会についてはどちらも25㎞ほどまでは走れたが、それ以降右足激痛のため引きずる状態でゴール。
マラソンによる疲労や痛みは治まっても、やはり右股関節に痛みが残るため病院を変えて再度受診。CTの結果、変形性股関節症(初期)との診断。
【変形性股関節症と診断されてからの生活】
・ランニングは全て中止
・通勤 片道約5㎞を歩いていたが自転車に変更
・ジグリングが股関節に良いと知り、貧乏ゆすり機を購入。隙間時間でひたすら貧乏ゆすり
・月1.2回水泳
ゆっくり自由形800mほど
・最近サプリメント摂取に目覚める
現在摂取しているものは
ビタミンC
マルチビタミン
プロテオグリカン
グルコサミンアクティブ
ビオチン
・高濃度ビタミンC10g点滴を月1.2回を目安に受ける(まだ始めたばかり)
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以上、現在はほぼ痛みもなく日常生活を送っていますが、やはり違和感はあります。
変形性股関節症について、初期で今痛みが無くても数年後には必ず痛み出し変形していく…と書かれていることが恐怖です。
ひとつしかないこの股関節をこの先ずっと使えるよう努めていきたいと思いますので、これからも、ぼくの手情報よろしくお願いします。
なんかとても長くなりスミマセンでした。
(^_^;)
>>カキさん
これだけ詳しく書いて頂いても、実際身体を診てみないとアドバイスが出来ない所にもどかしさを感じますが、それほど難しく繊細でもあります。
ぼくが書いたのは一般論であって全員に当てはまるものではありません。
それは栄養の話も同じです。
ですので詳しいことは書けませんが、一つだけ気になる事があります。
サプリを数種類飲まれてますが、プロテインは飲まれてないのでしょうか?
もし飲んでいないのであれば、サプリよりもまず何よりもプロテインを最優先で飲んでください。
そうじゃないと効果がかなり少なくなります。
高濃度ビタミンCも良いのですが、料金的な問題もありますので、できれば経口摂取で常に摂り続けることをお勧め致します。
栄養だけが大事ではなく、色々な事が大事です。
試行錯誤出来るようなるべく情報を書いていこうと思いますので、参考にされてください。