ランナーが献血するとどうなる

寒いけど陽が当たると非常に気持ちのいい季節な鹿児島です( ^ω^ )
太陽に当たりながら昼寝をする時の心地良さといったら何とも言えない!
とは言え朝一番はそれなりに寒くなるので走りに出るのが億劫になります。
それでも何とか勇気を振り絞って走りに出ないといけませんけどね(゚ω゚)
鹿児島マラソンまでもうすぐですので頑張らなきゃ!
 
 
さて、本題です。
今回はある患者さん(Wさん)の話です。
男性30代後半、マラソンをはじめトレイルランニングやウルトラマラソンに挑戦されてる方です。
先日行われた青島太平洋マラソン前にWさんの診ていた時です。
ふと爪を見たら貧血の感じがしました。
その旨伝えると特に貧血の症状は出ていないようでした。
しかし、確実に赤血球不足が診てとれました。
そのまま話を聞いていると定期的に献血をされているとのことでした。
僕はビックリしました。
持久系スポーツをする人にとって血液はあればあるだけパフォーマンスが上がります。
継続して体を動かすスポーツでは、筋肉に継続して血液を送らなければなりません。
なぜなら筋肉が酸素を必要としているからです。
もちろん酸素だけでなく様々な栄養素も運ばなければなりませんが、何より大事なのは酸素です。
 
赤血球の最大の役割は酸素を運ぶことです。
献血では当然ながら赤血球も血液に含まれるので体から無くなります。
ということは、筋肉に酸素を運べなくなります。
ここで体は二つの反応をします。
筋肉に必要な酸素を運ぶために呼吸をたくさんするよう脳に要求します。
呼吸をすると筋肉をたくさん使います。
余計に酸素を消費してしまうため身体が動きにくくなってしまいます。
これはよく知られてることではありますが、もう一つのことはあまり知られていません。
糖質は二つの経路を経てエネルギーとなります。
酸素を使う経路と使わない経路です。
それを「好気性解糖」「嫌気性解糖」と言います。
この嫌気性解糖では酸素を使わずにエネルギーを作ります。
しかし、その過程で乳酸を生産してしまいます。
みなさんご存知の通り乳酸は疲労物質です。
(乳酸は完全に悪者ではありませんが、体にあり過ぎると問題となります。)
酸素不足から体の中で乳酸を過剰に生産してしまい体が動かなくなります。
マラソンなどで終盤体が動かなくなるのは大きくこの作用が関係しています。
献血をしたことでなんと乳酸が体にたまりやすくなるんです!
持久系スポーツをしている人だけでなく、スポーツをする上で血液はなくてはならないものです。
必要最低限献血はしない方が良いです。
とは言え、献血して血液がないと世の中困ったりもします。
そこの天秤は人それぞれに任せるとします。
 
余談ですが、プロのスポーツ選手がよくドーピングで問題になります。
そのドーピングで何より大事なことは血液(赤血球)を増やすことです。
(もちろん筋肉量を不当に釣り上げる薬もあったりしますが、今回は赤血球の話なのでそちらに焦点を当てます。)
一昔前(と言っても5年とか10年前の話。ドーピングはイタチごっこで次から次に新しい薬を開発しているそうで、5年も経つと使われることはなくなると言われます。)に流行ったのがエリスロポエチンや自己血輸血です。
エリスロポエチンとは重度の貧血や多血症などで使われる造血因子の一つで、赤血球をたくさん作ってくれます。
自己血輸血とはその名の通り自分の血液を事前にとっておき、試合前に自分に輸血して血液(赤血球)量を増やすことです。
もしこれらに関して詳しく知りたい方の導入編として面白い本があります。
 
シークレットレース
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ロードレースの話です。
オリンピックのロードレースで金メダルを取ったり、ツールドフランスなどで活躍した「タイラーハミルトン」が書いた本です。
中々面白い本なのでドーピングに興味がない方にもオススメです。
とにかく、プロの選手たちはいかに赤血球を増やすかを常に考えてます。
中にはこの本の中に書かれているようにドーピングに手を染めてしまうこともあります。
今は長距離のケニアの選手たちが次々に摘発されてます。
実に奥の深い話なのでこれ以上書くことは避けますが、中々面白い話です。
 
 
市民ランナーで知られてる「カフェイン」の話を少し書きます。
このカフェインとはコーヒーや紅茶などに含まれる覚醒作用のある物質です。
それをレース前に飲むと身体機能が向上するとのことで市民ランナーがこぞって摂取しています。
実際つい最近までWADA(アンチドーピング機構)でも禁止薬の一つに認定していました。
それまでプロの選手たちも身体能力向上を信じてカフェインを隠れて飲んでいたそうです。
しかし、面白いことに禁止薬から外れたら選手たちは摂取しなくなったそうです。
なぜならWADAが禁止薬にしなくなったからです。
禁止薬にしないということは効果がそれほどないからです。
(しかし、カフェインの摂り過ぎは禁止になっているそうです。カフェインの摂り過ぎは命に関わるのでその意味で禁止にしているものと思われます。)
この最初の知識(カフェインは身体能力を向上させる)だけが先走り市民ランナーたちはこぞって摂取するようになったということです。
大会が近くなるとカフェインをなるべく摂取せず大会前に一気に摂取するというやり方などが流行っているみたいです。
実にナンセンス(゚ω゚)
ほとんど効果無いのでそこに気を使うくらいならもっと他にすべきことはたくさんあります。
それでもどうしてもカフェインを摂取したい人にオススメなのが玉露です。
玉露にはたくさんカフェインが含まれるので大会前に飲むと一気にカフェインが摂れますよ!
身体機能向上はほとんどないけどね(゚ω゚)
 
 
話がそれました。
血液の話でしたね。
とにかく、プロは血液をどうにかして増やすことを常に考えてます。
それなのに献血をして自らの血液を減らすことをするのは自殺行為と同じです。
血液はガソリンです。
筋肉がエンジンです。
ガソリンである血液がなくなれば走れなくなるし、ガソリンの質が悪いと走りに影響が出ます。
エンジンである筋肉がないと走れませんし、筋肉をどのようにつけるかで走りに影響が出ます。
今回は血液に焦点を当てて説明しました。
同じように筋肉も大事ですからね( ^ω^ )
過去記事で関係性が深そうなリンクを貼っておきますので詳しく知りたい方はどうぞご覧ください( ^ω^ )

持久系スポーツの為の栄養学1

持久系スポーツではなぜ貧血が多いのか

走れば走るだけ走れなくなるキュン乙さんの話

 
なんとも真面目に書いてるじゃないですか(゚ω゚)
途中面倒になって端折ったりしてるけどいい感じではないでしょうか。
どうぞ参考までにご覧ください( ^ω^ )
 

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 私も貧血です。定期的に検査して鉄剤を処方してもらってます。いつもよりちょっとでも速く走ると、心臓がバクバクします。車のオイル交換みたく、たまには男性も献血で抜いて入れ替えした方がいいとか聞いたことありますが、走る人はやめた方がよさそうですね。爪で貧血が分かる方法、教えてください。採血がイヤなんです。

    • >>9618さん
      女性はあまり献血をしない方が良いと思います。
      元より血液不足なのに献血することで様々支障が出ます。
      それを承知の上でされるのであれば良いとは思いますが…。
      「血の入れ替え」と言われても作られて間もない血液を取り出すこともあるわけですし、古い血液だけ外に出るわけではないのでその考えは正しくありません。
      オイル交換ではなく、人間は体内でオイルを作るのです。
      その原材料をより多く摂取すれば新鮮なオイルを作ってくれるのです。
      鉄剤だけでなく、赤血球を作る材料をしっかり摂る必要がありますのでご注意を。
      爪で貧血がわかると言っても、採血で正確に測った方が良いとは思いますよ。
      ぼくのは所詮目安程度なので…。

  • 私もランニングを趣味にしている者です。
    血液の比重が低く最近でこそしていませんが、以前はよく献血していました。
    貴重な知識、参考になりました。有難うございました。

    • >>たるみえこうさん
      男性より女性の方がより一層血液は体外に出やすいので注意が必要ですし、栄養をしっかり摂る必要があります。
      参考になれば幸いです。

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